東北ツアー後記

今回もやはり人の記憶、特に周りに対して責任を負う立場の方のお話を聴く機会が重なり、強く印象に残っています。
宿泊客やスタッフを守り地元の避難者の受け入れ先にもなった2つのホテルの女将、南三陸ホテル観洋の阿部憲子氏、釜石宝来館の岩崎昭子氏。被災時消防士だった南三陸311メモリアルの語り部さん。山元町長の橋元伸一氏。
自分のみならず多くの人々を助けなければならなかったその時、何をいかに見聞きし、決断し、どんな葛藤や後悔を味わってきたのか。
またその後の地域復興の道程、未来へつなぐ活動の数々。
理想的と思われるコンセプトも、人の心が皆そこに収まるわけではないという現実。地域によって、また被害の大きさや種類によって、復興の形はその数だけあり得るということ。
1月の能登半島地震にも思いを致しつつ、前回とはまた違い俯瞰した視点からも震災と復興を考える貴重な機会となりました。

風景・街

前回はまだ工事中の所が多かったのが、5年の間に新しい風景とその中での生活が出来上がってきた、という印象を受けました。
大熊町の特定復興再生拠点区域に昨年開校したばかりの「学び舎ゆめの森」、旧呉服店を安藤忠雄氏がリノベーションした「こども本の森 遠野」など、素晴らしいコンセプトに基づいた教育施設や庁舎。写真で見てずっと行ってみたかった「高田松原津波復興祈念公園」ほか、洗練された建築デザインの伝承館や整備された被災遺構。
高い防潮堤、嵩上げされコンパクトに再編成された街、メガソーラーの畑。
そして防潮堤は作らず再生された砂浜と松林、先祖から受け継ぎ守ってきた田畑。
各被災地が、”これからの故郷の風景”をどれだけ考え迷い議論して選んできたことでしょう。
それぞれがどうか、今後十年先、百年先で豊かな Golden Fields となっていますように。

コンサート

4箇所で開かれた Nature のコンサートは、 きっと誰もがどこかで聴いたことがあるクラシック、日本の歌に加え、旬のポップスは客層に合わせた2種類のプログラムが用意されました。
そして「Golden Fields」も、再び東北の皆様に届けていただきました。

大熊町立学び舎ゆめの森では、子供たちが演奏者のすぐ足元に集まって座り、ビビッドな反応にこちらまで楽しくなるひと時でした(迷子のオバチャンを親切に案内してくれた女の子たち、本当にありがとう!)
学校公式 note でこの日の様子を、 <素敵な記事>にしてくださっています。

贈呈式では見事に揃った美しい”礼”に感心した いいたて希望の里学園の子たちも、「アイドル」が始まると一緒に口遊んだりリズムに乗ったり。
こちらも<ブログ>に書いてくださっています。

南三陸ホテル観洋では途中通りがかったお客様も足を止めて聴いていらしたり(ブログ記事)、宝来館では女将さんも超ご多忙の中聴いてくださいました!

タイトスケジュールかつバスから降りれば雪道というハードな中、毎回、1曲ごとに違う世界へ旅するような時間を届けていらしたナテュールお二人。本当にお疲れ様でした!
ハヤシは、譜めくりしていたのが実はこの曲の…という「珍獣・作曲家」を務めて?まいりました(笑)

「心を寄せる、風化させない」

早川学校の皆様は以前から、社団の基となった鴇田くに氏の故郷である輪島を中心に、また3.11後は東北各被災地にも、図書贈呈ほかの支援活動を続けていらっしゃいます。
その活動の一環である視察旅行には「心を寄せる風化させないボランティア」という言葉が冠せられており、今回特にその言葉が大切なものに思えました。

東日本大震災の後も国内外各地でいくつもの大災害が起き、今、切実な助けを求めている”被災地”があります。その支援はもちろん必要ですが、13年経った東北でもいまだ”復興”が現在進行形の地域は多く、今だからこそ必要な支援があります。
日々新たな痛ましいニュースに目を奪われますが、”その後”を見失い記憶を風化させてしまわないよう、今後も心を寄せ続けたいと思います。

東北の皆様自身も、震災の体験や教訓を風化させず未来へ・世界へつなぐことを使命として、語り続けてくださっています。
そこから学んだものをリレーしてゆき、もしもの時には活かされ1人でも多く助かることにつなげる。そのことが語り部の皆様や被災者皆様への恩返しになると信じて、今後も自分なりの形で行動してゆこうと思います。

さいごに

この素晴らしい機会を下さった(一社)鴇田くに奨学基金ビヨンドXプロジェクト早川学校の早川貴子理事長(=書家・華蓮先生です!)、早川顧問ご夫妻。
多くを学べるのみならず楽しく快適なツアーをコーディネートして下さった小野寺さん。
ツアー中数々の機材を持って記録映像を制作なさった高辻さん。
ご一緒に参加しながら興味深いお話や鋭い質問などからも勉強させていただいた、千葉さん、馬場さん。
音楽のプレゼントという大切な役目を果たされた Nature 明佳さん多佳子さん。
そして、私たちを受け入れ心温まる交流の時間を下さった、東北の皆様。
皆様に改めまして、心より感謝申し上げます。

公式映像

以上をモタモタ書いているうちに、今回の公式映像が完成して公開されました。
訪れた先々、演奏会の様子(部分)など、素晴らしいダイジェストとなっています。
図書贈呈式の早川理事長の温かなご挨拶が素敵です。
最後の私の感想は…もう少し何か言った気がするのですが😂まぁ、まとめるのにこんなに時間がかかったわけです…

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