被災地訪問、Natureコンサート後記

6/14〜16にかけて、東日本大震災被災地復興支援・視察旅行に参加してきました。
鴇田くに奨学基金ビヨンドXプロジェクト」による企画で、基金より小中学校や女川町への図書贈呈、被災遺構や伝承施設の見学に加え、贈呈式典や宿泊先の旅館ではNatureのミニコンサートが行われ、このツアーのために書いた拙作「Golden Fiels」が初演されました。

なんというか…非常に心動かされ続けた3日間でした。
震災翌々年に仙台市街地には伺ったことはありますが、津波の甚大な被害の爪痕を目の当たりにするのは今回初めてで、今更ながら大きな衝撃を受けました。

もっとも大きく心に残るのはやはり、今なお生々しい記憶に触れたことです。
たくさんの児童が犠牲になった石巻の大川小学校内をご案内下さった、今も裁判が続く訴訟の原告団の佐藤さん。気仙沼の伝承館の語り部さん。釜石の旅館「宝来館」で女相撲甚句に乗せて被災体験を歌い伝える「あの日あの時伝え隊」のお二人。
ガイドとしてのご説明やステージ上で歌われる内容も非常に胸に迫るものでしたが、それにも増して個人的なエピソードをお話し下さる時のふとした表情や言葉の間から、8年経つ今でも心の傷から血が滲むのが伝わります。それでも生きている者がしっかり語ってゆこうという、皆さんの強い心を感じました。

モノの記憶も強烈です。
大川小旧校舎2Fの、下から波に押し上げられドーム状にひしゃげたままの床、天井の泥の跡、壁にかかったまま止まる時計。すぐ裏の山には津波到達点を示すプレート。向こうで動くショベルカーは、遺構の整備が始まる前に、まだ見つかっていないお子さんを親御さんが自費で探していらっしゃるとか…
旧気仙沼向洋高校校舎では、3階の教室に裏返しに転がる自動車、屋上から見渡す海辺から押し流された冷凍工場が抉った4階の側壁。
TVなどとは違い、実際の距離感や高さが分かると、津波の力や体積のとんでもない大きさが肌身に感じられて心底恐ろしかったです。

気仙沼向洋高校旧校舎、分かりにくいですが3Fの教室です。

…とはいえ、重い気持ちばかりの旅では決してありませんでした。
リアス海岸沿いの道を行く車窓は、山中を走っているかと思うと眼下に漁港が現れ、サイタマ県民の目には大変ドラマチックに映ります。霧にけぶる山や青々とした田の間を河口に近い広い川がゆったりと流れる様は、ザ・日本人の原風景といった風情。
それぞれ実は津波の被害が大きくなってしまった原因でもある地形なのですが、本来は海も陸も大変豊かな場所なのが分かります。
先々で頂いたお食事がどれも本当に美味しかったのも納得です!

また、東松島市の鳴瀬未来中学校宮野森小学校女川町の新庁舎を始め駅や中心街の街並み、各地の伝承施設、宿泊施設など、それぞれよく考えられ素敵にデザインされていて、建築・都市デザイン好きとしてワクワクする旅でもありました。
美しく新しい建物たちから、震災の経験を生かして、より明るく安心できる未来を築こうという意思が伝わってきます。
その中で、子供達はのびのびと元気に過ごし、住民も観光客も心地よく歩き、美味しい料理が提供され、よく工夫された展示で震災を学ぶ場となっていました。

ただ、学校の先生方や東松島市長・女川町長はじめ現地の方々のお話に何度か出てきたのが、「ハード的な復興は着実に進んでいるけれど、ソフトが追いついていない」という課題…
確かに今回見聞きした限りでも、方々の図書室がどこも心地よい素敵な空間なのに書架にはかなり余裕がある状態だったり、子供達が生演奏を聴ける機会はまだまだ少ないと学校の先生から伺ったり。
今でもフラッシュバックで避難訓練に参加できなくなってしまう児童がいたりする中で、「心の」復興が今こそ求められています。

そのためにも、図書とコンサートを贈るというプロジェクトの意義は、本当に大きなものだと思います。
「図書」といっても実際は、自分達で欲しい本を選んで購入できるように図書カードが贈られます。必要な相手に必要なものが届けられてこその「支援」、ということを今回教えて頂きました。私でもできることは何か、考えて少しでも動いてゆきたいと思います。
ビヨンドの皆様は震災以来このような支援ツアーを続けていらして、今回で第20回を数えるとのこと…尊敬の念に堪えません。
大きな学びの場であると共に観光旅行としても大変充実したこのツアー、参加させて頂き心より感謝申し上げます。
ご一緒した参加者も旅先でお世話になった方々もみな素敵な方達で、出会いにも感謝。

さて書くのが後回しになってしまいましたが、Natureのコンサート。
鳴瀬未来中・宮野森小・宝来館の計3回、それぞれ時間は短くも、クラシック・映画音楽・CD「FourSeasons」より季節の曲など幅広く楽しめるプログラムで、最初の一音から世界がふと違って見えるようなひと時でした。
5分で早着替え→即開演といった慌ただしいスケジュールで、リハどころか音出しすら無しでしたが、美しいドレス姿でプロの演奏を提供するお二人、さすが!
耳も眼も、そしてMCのあたたかな言葉で心も、楽しく癒されるコンサートでした。

新曲「Golden Fields」は、まさに風が渡って行くような爽やかな初演でした。
学校ではコンサートに目を輝かせる子供達が、金色の秋を目指してぐんぐん伸びる一面緑の田んぼの風景に重なりました。
終演後私にも声をかけてくださる方もいらして、少しでも皆様の心にお土産を残すことができたかなと…
明佳さん、多佳子さん、本当にありがとう。
小さな作品ではありますが、今後もNatureお二人のお力を借りてこの曲を通して、3.11に限らず災害・復興支援のことを考えるきっかけとなったり、明るい気持ちを届けたり、そんな機会を作れないか思案中です。

リアス線「鵜住居」駅。新日鉄釜石のお膝元で、ラグビーW杯会場のスタジアムの最寄駅です。
悪天候でダイヤが乱れ電車には乗りそびれちゃいましたが、次回のお楽しみです!

2 Replies to “被災地訪問、Natureコンサート後記”

  1. 素晴らしい体験談でした❗
    お気持ち、情景、現状ナドガ良く伝わって来て僕も何かをしたいと思いました
    有り難うございました

    1. 古澤先生!
      自分も何かしたいという想いの輪を広げることができたら、皆様へのお返しにもなります。
      読んで下さってコメントまで、こちらこそありがとうございました!

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